ブロック報酬

Filecoin

ファイルコインの特徴:ブロック報酬について

Filecoinネットワークは、参加者の間でインセンティブを調整し、マイナーに報いる独自の経済設計となっています。Filecoinエコシステムの重要な要素はブロック報酬であり、信頼性の高い有用なストレージ容量を提供し、Filecoinブロックチェーンを維持するために、マイナーに支給します。

ほとんどのブロックチェーンでは、新しいブロックのマイニングに成功した場合、ブロックを生産するマイナーにトークンが報酬として与えられます。Filecoinもその点では変わりません。Filecoinのブロックチェーンは、リーダー選挙(訳注:どのマイナーがマイニングをするのか)を重ねることで成長し、リーダー選挙に勝利して新しいブロックの生成に選ばれたマイナーは、報酬として一定量のFilecoinトークンを受け取ることができます。

Filecoinのブロック報酬システムは、ブロック報酬を獲得するマイナーを決定する方法と、ブロック報酬を獲得するプロセスに適用されるインセンティブの両方においてユニークです。このシステムにより、マイナーとクライアントの両方にとってFilecoinネットワークの有用性が向上し、長期的な健全性が確保されています。その方法を見てみましょう。

マイナーがブロック報酬を獲得する方法を説明します。

ストレージパワーはFilecoinブロックチェーンのエンジンです。マイナーは、「シーリング」と呼ばれるプロセスを通じて、ハードドライブのスペースをFilecoinネットワークに割り当てることで、ストレージパワーを獲得(認証を獲得)します。シーリングは、ストレージスペースをFilecoin上のデータを保存するためにコミットされたセクターに分割します。マイナーがネットワークにストレージセクターを追加すればするほど、保存できるクライアントデータの数が増え、獲得できるFilecoinの数も増えます。

マイナーは、ネットワークにストレージパワーを追加することで、リーダー選挙に参加する権利を得ることができます。マイナーが提供できるストレージパワーの量及びそのストレージ内の品質に取引種類の乗数で加重されたブロック報酬が授与されます。

マイナーは、品質調整(quality-adjusted power)されたパワーに比例してブロック報酬を受け取ります。例えばネットワーク全体の品質調整されたパワーの1%をマイニングしているマイナーは、時間の経過とともに約1%のブロック報酬を受け取ることが期待できます。

ブロック報酬を獲得するためには、マイナーは従来のPoF(Proof of Work)とは異なり、ネットワークに信頼性の高い有用なストレージを提供していることを証明することでブロック報酬を獲得します。誰でもネットワークにストレージリソースを提供することができ、すぐに報酬を獲得することができます。さらに、マイナーは有用なデータを保存することでより大きなインセンティブを得ることが可能です。例えば、宇宙の研究や病気の治療に役立つデータセットは、ネットワーク上でより重要視されるようになります。

クライアントが信頼性の高いストレージを使用する方法を説明します。

Filecoinネットワークは、クライアントに信頼性の高い有用なストレージを提供することを目的としています。伝統的なPoFのブロックチェーンでは、マイナーはいつでも自由にオフラインにすることができます。この場合、彼らはブロック報酬を得ることができなくなりますが、それ以外の場合は影響を受けません。対照的にFilecoinのマイナーは、契約に基づいてクライアントに継続的なストレージサービスを提供しなければなりません。もしFilecoinのマイナーがクライアントとの契約中にオフラインになった場合、クライアントにとってのサービスの価値が損なわれ、ネットワークの健全性と評判が損なわれることになります。

クライアントが安定したサービスを得るために、Filecoinネットワークはマイナーにブロック報酬を担保としてコミットすることを要求しています。マイナーが早々に契約を終了したり、オフラインになったりすると、マイナーにペナルティが課せられ、担保は “スラッシュ “と呼ばれるプロセスでバーンされます。このように、Filecoinプロトコルでは、ブロック報酬を使用して、マイナーにデータを保存するインセンティブを与えるだけでなく、永続的な方法でデータを保存し、クライアントとネットワークとの約束を守るようにしています。

次にネットワークユーティリティに基づいたブロック報酬を説明します。

多くのブロックチェーンでは、マイナーがブロック報酬を獲得できる量は、指数関数的減衰のモデルを適用することで、早期の採用をインセンティブしています。つまり、マイニングはブロックチェーンの初期段階では指数関数的に収益性が高くなり、同時に参加率と実用性が最も低い場合が多く、その後急速に減少していきます。

このモデルでは、シーリング段階のハードウェアに大きな投資を行い、できるだけ早くストレージをオンボードするようなインセンティブとなっています。ストレージの信頼性や有用性をほとんど考慮されません。このモデルでは、ネットワークからのインセンティブの大部分が、実際に提供されたストレージではなく、完全にタイミングに基づいて支払われることになります。

単純なストレージの追加と急速なシーリングだけでなく、長期的なストレージへの投資を促すために、Filecoinではネットワークのベースライン(訳注:現在は2.5エクサバイト)という概念を導入しています。ネットワークのベースラインを満たすために、ネットワークがどれだけ進んだかに基づいて「ネットワーク時間」という概念が定義されています。ブロック報酬は現実の経過時間に基づいてトークンを生成するのではなく、「ネットワーク時間」がどれだけ経過したかに基づいて生成されます。これにより、元々の指数関数的減衰モデルは維持されますが、ネットワークの初期段階では緩和されます。全体的な結果として、Filecoinの採掘者への報酬は、マイナーとネットワーク全体がクライアントに提供するサービスとより密接に一致するようになりました。

具体的には、ハイブリッド指数生成メカニズムが導入されており、報酬の一部は単純な指数減衰から来る「単純生成」であり、残りの一部はネットワークのベースラインから来る「ベースライン生成」です。エポック(訳注:ブロックの事。ファイルコインではエポックとも呼称する)ごとの報酬の合計は、2つの報酬の合計となります。

Filecoinのマイニングは、この仕組みでさらに収益性が高まるはずです。単純な生成配分では、初期のマイナーに不十分な報酬を与えます。ベースラインの生成配分では、ネットワークにとってより多くの価値が創造されたときに、より多くのトークンを生成・配当します。ネットワークが大きくなればなるほど、多くのトークンが生成・配布される仕組みとなっています。これは、ネットワークにとっての価値の創造が増えることにつながり、生成が早くなりすぎるリスクが減ることにつながるはずです。

ベースラインを通過することをより効率的かつ経済的にし、ベースラインの生成シェアを拡大するための機能が実装されています。コミュニティが一丸となれば下記の目標を達成することができます。

・より高性能なPoFアルゴリズム、より低いオンチェーンフットプリント、より高速な検証時間、より安価なハードウェア要件、異なるセキュ リティ前提条件によりセクターの寿命が長くなり、再シーリングせずにセクターのアップグレードが可能になります。

・スケーラブルなコンセンサスアルゴリズムにより、高いスループットを提供し、短時間な処理で、多くのボリュームを処理することができます。

・セクターの寿命を長くするための、より多くの取引機能

最後に、ブロック報酬は参加を促すものではありますが、悪用ができない仕様となっています。ブロック報酬は、経済と参加者に利益をもたらすためにネットワークの種をまき、成長させる源です。経済ステージとブロック報酬ステージ供給表の例を以下に示します。

(訳注:上記表では、後半になればなるほどサービス全体のレベルがあがり、単純生成がへり、ベースライン報酬が増えていく、という事を信号強度の形で表現しています)

結論です。

ブロック報酬は、Filecoinがマイヤーやクライアントによってストレージ関連の商品やサービスに変換され、信頼性の高い有用なストレージ経済を構築するという使命を果たすために使用されるエコシステムの1つです。Filecoinプロトコルは、独自のブロック報酬構造を通じて、マイナー、クライアントのインセンティブをネットワークの長期的な有用性と整合させています。

※発信元

https://filecoin.io/blog/filecoin-features-block-rewards/

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