FVMがもたらす世界

Filecoin

現在、Filecoinは分散型ストレージとリトリーブネットワークとして知られています。世界中のストレージプロバイダーを通じて、18 EiBを超える分散型データストレージ容量を世界に提供しています。

しかし、データストレージは始まりに過ぎません。先日、Filecoin v16 Network Upgradeを開始したSkyrは、Filecoin Virtual Machine(FVM)立ち上げの最初のマイルストーンを完了させました。このプロセスが完了すれば、ビルダーはFilecoin上のデータを使って計算や分析ができるようになります。

FVM=証明可能なストレージ+スマートコントラクト。

FVMは、Filecoinネットワークの状態を示すデータに対してオンチェーン計算を行う独自のスマートコントラクト(またはFilecoinエコシステムで知られているアクター)のプロイを可能にします。これはとても強力な追加機能です。ユーザーが証明可能な分散ストレージ上でオンチェーン計算をプログラムできるようにすることで、オンチェーンとオフチェーンで、多くの活用事例やアプリケーションを作り出すことができるようになります。

ストレージとリトリーブ機能は、Filecoinのレイヤー0アーキテクチャであると考えることができます。オンチェーン計算を実行する能力は、現在 Filecoin スタックのレイヤー1として機能しています。

新しい Filecoin のユースケース

では、これは何を意味するのか、なぜこれが重要なのか、どのような可能性が開けるのでしょうか。FVMは、新しいWeb3.0 dAppsの作成に使用することができ、その多くはネットワーク機能を10倍以上向上させる可能性を持っています。

Filecoinコミュニティのメンバーは、これらの新しい機能を使って何が構築できるかについて話し合いを行なっています。コミュニティで議論されているアイデアには、次のようなものがあります。

トークン化されたデータセットとデータDAO

データセットエコノミーで、社会に対するデータセットの可能性を見つけ、共有することができることを想像してみてください。データトークンをピア間で交換し、検証、結合、分析、機能探索、機械学習への移行など、計算サービスを要求することも可能です。

信頼できる評価システム

ノードのオーバーレイネットワークを想像してみてください。このネットワークは、サービス品質保証、パフォーマンス、通信の遅延時間、地域の詳細などの主要な指標を測定と、ストレージプロバイダーとランダムな取引を行うためにネットワークをパトロールすることができます。これらのノードは、ストレージプロバイダーの評価スコアをオンチェーンに保存し、追跡と検証を可能にします。

レプリケーションワーカー

誰もが新しいスマートコントラクトを作成することができ、ネットワーク上で特定のデータセットのコピーを保管し、新しい取引を行うことができます。常に自動的に保存されるようにすることで、データの弾力性を保ちます。

スマートコントラクトは、データを一度だけFilecoinネットワークに転送し、そのデータを複製して複数のストレージに送信することも可能です。また、ユーザー定義のポリシーとして、データのルール(地域や場所、通信の遅延時間、価格などを指定する)を作成することも可能です。これはすべて、FVMのスマートコントラクトの中に組み込むことができます。

よりスマートなストレージ市場

セクターの問題が発生した場合に、取引の自動更新や自己修復などの豊富な機能を想像してみてください。また、指定された時間枠や条件を絞った検索が行われる、タイムロックまたはイベント駆動型のデータ取引も考えられます。

このほかにも、さまざまなケースがあります。

FVMを使えば、もっとたくさんのユースケースがあります。唯一の制限は、開発者の想像力です。コミュニティが検討できる他の例としては、以下のようなものがあります。

  • NFTの作成、交換、保管を一箇所で行う。
  • ストレージバウンティとオークションメカニズム
  • L2ブリッジの実現
  • DeFi方式で構成されるストレージの先物およびデリバティブ
  • セクター担保のための条件付融資

素晴らしいユースケースのアイデアや提案があれば、こちらからFVMフォーラムで議論に参加してください。

どのように実現されるのか?

FVMは、WASMのコアをベースに、リファレンスSDKをRustで構築しています。私たちのコミュニティには、AssemblyScript SDKや実験的なTinyGo SDKなどに取り組む開発者が何人もいます。

また、FVMのEVM互換性についても、現在検討中です。つまり、現在EVMを利用しているユースケースはすべて、Filecoinのストレージレイヤーに移して利用することができます。同様に、開発者は現在のSolidityのスキルだけでなく、Hardhat(Solidtyの開発環境)やウォレットなどのEthereumエコシステムのツールを使ってFVMの開発することができます。

ロードマップについて

ユーザー定義のスマートコントラクトは、常にFilecoinの開発ロードマップの一部となっています。

しかし、優先順位はまずレイヤー0を堅牢で安全、かつパーミッションのない分散型ストレージネットワークであるFilecoinを開発することでした。

そして今、コミュニティは次のフェーズに進む準備ができています。FVMロードマップでは、これらのL1機能を立ち上げるための詳細を上げています。

Skyrのマイルストーン1(ノンプログラマブルWASMベースFVMの導入)を完了した後、コードには監査が入ります。これは、マイルストーン2(ネイティブFVMとEVM互換FVMの両方に対するプログラマビリティ)が、現在進行中であることを意味しています。

FVMコミュニティとの連携

もしあなたが、FVMを共に作り上げたいという思いがあれば、参加する方法がありますのでいくつかご紹介します。

GithubでFVMの技術的な詳細を詰めるのを手伝ったり、#fvm Slackの議論に参加したりすることができます。このレポと関連するFIPには、FVMがどのように構成されているかが記載されています。

もしあなたが構築したいユースケースやツールをお持ちなら、FVM Early Builders プログラムに参加してください。エコシステムには、Zondax、Bloxico、Polyphene、Venusチーム、Glifなど、協力できる素晴らしいビルダーが他にも存在します。次のコホートは、9月に開催します。

FVM用のインフラとツーリングプロジェクトに焦点を当てたFVM RFP Grantsに応募する。現在、高レベルのRust SDK、AssemblyScriptとTinyGo SDK、FilHackと呼ばれる「FVMのためのハードハット」を構築するチームなどが提案されています。しかし、FVM上のツールやインフラストラクチャ・プロジェクトについては、もっと多くの提案が必要です。例えば、Open Zeppelinのライブラリや、データウォレットのコンセプトなどです。

まずFVMについてもっと知りたいという方は、プロジェクトの説明動画もご覧ください。

関連記事

本ブログは、www.filecoin.io/blogからの翻訳となります。

ソース:https://filecoin.io/blog/posts/what-the-fvm-unlocks/

IJC-media

IJC-media

IPFSを中心とした技術による日本の産業競争力の向上を目指すIPFS JAPAN コンソーシアムが、最新の世界動向や業界情報を配信するメディアサイト

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP