Filecoinネットワークは分散型ストレージ市場とネットワークであり、ブロックチェーン上の分散型プロトコルと公的に検証可能なストレージ証明によってデータの永続性を提供します。現在のFilecoinネットワークのパフォーマンスは、主にセキュリティパラメータとFilecoinの証明構造によって決定されます。
ネットワークが極めて初期段階であるため、やや不安定であり、またFilecoinが分散型システムであることから、現在のFilecoinのネットワーク性能について、信頼性の高いベンチマークを提供することは難しい事もあります。しかし、Filecoinの使用を開始すると、これらのヒューリスティックスを使用して、一般的なFilecoinネットワークのパフォーマンスを理解し、それがあなたのユースケースにどのようにフィットするかを理解することができます。
ファイナンシャルトランスファー
FILの送金を必要とするメッセージは非常に高速であることが多く、チェーンに反映されるまでに平均して~1ブロックタイム(約30秒)かかります。高額送金の場合の確認数は120ブロック(1時間)が保守的だと考えています。
データストレージ
Filecoinデータストレージプロトコルには、案件が提案されて承認された時点で、以下いくつかの重要なコンポーネントがあります:
1. ストレージマーケットのアクターに資金を提供:このプロセスには約1~2分かかり、顧客とマイナーの双方が取引の支払いに必要な資金と担保を確保します。
2. データ転送:取引の流れのこの部分では、顧客のノードが関連するデータの一部をマイニングノードに送信します。データの転送速度は、顧客とマイナーのネットワークやディスクの帯域幅によって大きく異なります。通常は、クライアントとマイナーの間のネットワーク速度が重要な決定要因となります。
3. 取引はチェーン上に表示されます:データがマイナーに受信されると、そのデータが取引のパラメーターと一致するかどうかが検証され、取引がチェーン上に公開されます。
4. セクターシーリング:取引がチェーン上に表示されても、マイナーはProof-of-Replicationの生成とセクターのシーリングを完了する必要があります。このプロセスは現在、マイニングに必要な最低限のハードウェア要件を満たすマシンでは、32GBのセクターで約1.5時間かかると言われています。
ほとんどのストレージクライアントにとって、重要なストレージ性能は、取引の受付からオンチェーンでの登場までにかかる時間です。これは、上記の(1)から(3)のステップの合計です。現在のハイレベルなベンチマークによると、1MiBのファイルの場合、これらのステップには約5~10分かかると推定されます。
データの取得
Filecoinのネットワークから直接データを取得するには、以下2つの方法があります:
・高速取得:lotusのような一部のFilecoinクライアントでは、デフォルトで、ストレージマイナーが、保存されたデータの密封されたコピーに加えて、密封されていないコピーを保存できるようになっています。封印されたコピーは、マイナーが提出しなければならない永続的なストレージ証明のために必要であり、一方、封印されていないコピーは、ストレージマイナーからデータを迅速に取り出すために使用できます。これは便利な機能ですが、プロトコルの検証可能な部分ではないため、すべてのマイナーが保存データの余分な非密封コピーを保存しているという保証はありません。lotusでは、この機能をfast-retrievalと呼びます。
・アンシーリング後の取得:Filecoinのプロトコルの設計上、ストレージマイナーは基本的にクライアントのデータをその封印されたフォーマットで保存することが保証されています。そのため、ストレージマイナーがデータの封印されていないコピーを保存していない場合、まず封印されているデータのアンシーリングし(つまり、暗号化されたデータを解読し)、それをリクエスした人、つまりリトリーブクライアントに提供する必要があります。
いずれの方式でも、取得のプロセス取引が受理された後のデータ取得処理には:
1. 取得のための支払いチャネルのファンディング:データ取得を目的とする以外は、上記のストレージ取引のペイメントチャネルのファンディングと同様です。ペイメントチャネルの作成とファンディングのタイミングは、上述とほぼ同じです。
2. アンシーリング(必要な場合)。マイナーはデータをアンシール(デコード)して、データ要求者が読めるようにします。シーリングとアンシーリングは対称的なプロセスであり、どちらの方向にもほぼ同じ時間がかかることを意味します。このように、アンシーリングは、上記のシーリングと同じくらいの時間、または最小ハードウェア要件を実行するマシン上の32 GiBセクターで約3時間かかると推定されます。
3. データ転送:マイナーは、データ要求者にデータを転送し始めます。これも元のデータ転送速度に近い速度で転送されますが、様々な要因によって大きく変動する事もあります。
データ検索プロセスには様々なステップがあるため、Filecoinストレージは現在、従来のウォームストレージやコールドストレージと同様のパフォーマンスバーを満たしています。他のホットストレージソリューションと同等のパフォーマンスを得るために、ほとんどのユーザーはIPFSなどのキャッシング層と組み合わせてFilecoinを利用しています。これらのハイブリッドな多層ストレージソリューションは、ホットストレージにIPFSを使用し、Filecoinは手頃な価格で頻繁にバージョン管理されたバックアップに使用されます。ハイブリッドストレージ製品の例としては、PowergateやTextile Bucketsなどがあります。
ブログは、docs.filecoin.io からの翻訳となります。
本文:https://docs.filecoin.io/about-filecoin/network-performance/#financial-transfers
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